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犬と猫の基礎栄養学【2】

毎日のペットの食事、どのようにされていますか?食事は健康の基本。正しい「栄養学」の知識を学んで、うちの子の健康を守ってあげたいですね。今回は、普段何気なく選んでいるドッグフードやキャットフードにまつわる基礎知識や、適切な選び方について取り上げました。

【取材協力】
NPO法人Knots(ノッツ)副理事長 愛玩動物飼養管理士 勝田 千恵美さん
http://www.knots.or.jp/

うちの子にぴったりのペットフードを選ぶには?

一番は愛犬・愛猫の年齢や健康状態で選ぼう

ペットフードを選ぶ時、最も気をつけなければいけないのは、愛犬・愛猫の年齢や健康状態です。

●成長期/成犬・成猫期/高齢期のどのステージにいるのか
●やせたり、肥満したりしていないか
●散歩や運動をよくするのか、あるいは運動不足気味か
●食物アレルギーや慢性の疾患などを持っていないか 等

もし、何らかの病気を持っている場合は、一般の市販フードではなく、動物病院で処方された療法食フードを与えなければいけないケースもあります。とにかく、それぞれの年齢や健康状態にふさわしいフード選びをすることが大切です。

ペットフードの種類で選ぼう

ペットフードは、水分含有率の違いによって、大きく3種類に分かれます。

●ドライ(いわゆるカリカリ):10%以下
●セミモイスト(ソフトドライ):25~35%
●ウェット(缶詰やレトルトタイプ等):75%以上

水分が13%以上だとカビが生えやすくなるので、特にセミモイストタイプは保存方法に注意してください。光や湿気を通さないアルミ製容器などに入れ、使用後は密封して冷蔵庫かチルド室で保管しましょう。

ドライタイプでも、開封後、光や空気に触れると油脂分が酸化(あぶら焼け)したり、また、湿気に触れるとカビの原因にもなりますので、なるべく少量ずつ購入し、開封後は密封して、早めに使い切ってください。

缶詰などは開封しなければ、よほど保管環境が悪くない限り、かなりの期間、品質が保持できます。

ペットフードを選ぶ時に、「総合栄養食」か「一般食(副食)」か、パッケージの表示をチェックしていますか?

総合栄養食とは、そのフードと水だけで、犬や猫に必要な栄養素を確保できる主食。対して、一般食は”おかず”に当たります。ウェットタイプにも総合栄養食のものはありますが、猫缶などは大半が一般食です。嗜好性が高いので犬や猫は喜んで食べますが、あくまで補完食ですので、必ず総合栄養食と一緒に与えるようにしましょう。

ライフステージに合ったフードを選ぼう

犬と猫の基礎栄養学5

総合栄養食フードの多くは、「幼犬(猫)用」「成犬(猫)用」「高齢犬(猫)用」といったライフステージ別になっています。犬や猫も人間と同様、成長期には、維持期に比べて多くのエネルギー量や栄養素を必要としますので、栄養価の高い「幼犬(猫)用」フードを与えてください。

犬種によって違いますが、生後1年を過ぎたころから維持期用のフードに切り替えますが、ひと口に「成犬(猫)用」といっても、ブランドによって、エネルギー量や、タンパク質や脂肪などの栄養成分の比率に、かなり差があることをご存じですか? 一般に脂肪の比率が高いほうが嗜好性は高まりますが、その分、肥満になりやすくなります。愛犬・愛猫の運動量や健康状態に合わせて、適したものを選びましょう。すでに太り気味の場合は、「ライト(ダイエット)」タイプをおすすめします。

高齢期になると、運動量が減ったり、基礎代謝が低下し、必要エネルギー量も減少しますので、維持期のフードのままだと肥満の原因となる場合もあります。低カロリーで消化吸収のよい高齢期用フードへと切り替えましょう。

愛犬のサイズに合ったフードを選ぼう

最近、「小型犬用」「大型犬用」を分けたフードも見かけるようになりました。意外と知られていないのですが、実は小型犬のほうが大型犬よりも、体重当たりの必要栄養量が多いのです。しかも、小型犬は食べられる量が限られているため、少量で十分なカロリーを摂取できる栄養価の高いフードになっています。また、粒の大きさなども配慮されています。

アレルギーなどの体質に合ったフードを選ぼう

食物アレルギーに悩む犬も多いようです。牛肉や豚肉中のタンパク質や、小麦に含まれるグルテンなどがアレルゲンになりやすいということで、ラム肉と米を原料とする「ラム&ライス」が生まれ、低アレルギー食として定着しました。

最近では、その他にも、タンパク源として鹿肉や魚を使ったり、グルテンを避けるためにサツマイモを使用したものなども登場しています。アレルギーが気になる場合は、こういったフードを試してみるのもいいかもしれませんね。

原材料の中身や、添加物の有無にこだわって選ぼう

犬と猫の基礎栄養学6

ペットフードにも、健康志向が強くなってきました。単に栄養バランスだけでなく、原材料の中身や添加物の有無にこだわる飼い主さんも増えています。

ペットフードには「原材料表示」の記載がありますが、その項目は含有量の多い順となっています。どんな食材を食べさせたいか、どんな食材を避けたいか、を考える時の参考にしましょう。また、いわゆる”無添加”フードは、着色料はともかく、酸化防止剤などが一切含まれていない場合、非常に傷みやすいので、保存方法や使用方法には注意してください。

なによりも愛犬・愛猫の体や嗜好に合っているフードを選ぼう

ペットフード選択の最終的な決め手は、やはり「うちの子に合っているかどうか」です。いかに良質のフードでも、愛犬・愛猫の体や嗜好に合わなければ、食べてくれなかったり、食後にもどしたり、下痢したりすることもあります。

目の輝き(表情)や元気の良さ、体重の増減、毛づやの良し悪しや脱毛の有無、下痢や便秘、ウンチやおしっこの量や回数、においの変化・・・などを注意深く観察し、健康状態、栄養状態を判断しながら、愛犬・愛猫に合った食生活を維持するようにしましょう。

(初出:「よみうりペット」2005年6月20日発行号)

11月 20, 2009 | Comments are off | 未分類

犬と猫の基礎栄養学【1】

毎日のペットの食事、どのようにされていますか?食事は健康の基本。正しい「栄養学」の知識を学んで、うちの子の健康を守ってあげたいですね。今回は、犬猫のもともとの食生活や栄養バランス、ライフステージと肥満の関係など、犬や猫の基礎栄養学について取り上げました。

【取材協力】
日本獣医生命科学大学 獣医学部 獣医保健看護学科 教授 左向 敏紀さん
http://www.nvlu.ac.jp/

健康はまず「食」から!犬や猫の基礎栄養学について学ぶ

犬の食生活と栄養バランス

犬と猫の基礎栄養学2

犬の原種はオオカミですが、彼らはもともとあまり狩りが上手ではありません。だから猫科の動物のようにその場で獲物を倒さず、群れでずっと追いかけ、狩りが成功したらみんなで食べたり、土に埋めて保存し、あとで少し腐った肉を食べたりしていました。また、狩りがうまくいかなければ植物で飢えをしのいだりもしていました。それで犬には、食べられる時にガツガツと食べる傾向があります。

犬は基本的に肉食ですが、栄養学的に見て、何でも食べる人間に類似している雑食タイプで、少しぐらい栄養成分に変動があっても大丈夫。栄養バランスが人間に近いことと、食生活の多様性があるため、人間の残飯を食べても問題は少なく、早くから人間と共生できたんだと思います。ちなみに、草食の度合いが強いと長くなる消化管の長さで言えば、犬は体長の5倍で、6倍の人間より少し短いぐらい。それに対して猫の消化管の長さは体長の4倍です。

体に悪い食べ物と、犬の消化時間との関係

消化管の長さと消化時間の関係で、興味深いのは、犬は食べた物が消化・吸収し終わるまで6時間から8時間かかること。普通、肉は消化・吸収が早いのですが・・・。犬より消化管の長い人間が2、3時間ほどですから、ちょっと不思議です。

まだはっきりしたことは分かっていませんが、万一、体に悪いものを食べた時にすぐ吐き戻しできるように、胃の中に置いている時間が長いのではないか、と思っています。ついでにいえば、食べると赤血球が破壊されるタマネギなどは、普通、犬は自分から食べようとはしません。

猫の食生活と栄養バランス

犬と猫の基礎栄養学3

猫は「フレッシュ・イーター」と言われるように、獲物を狩りして新鮮なところだけを食べる動物で、典型的な肉食動物です。だからといって「タンパク質」だけを食べているわけではありません。獲物の内臓には消化管も肝臓もあります。だから内臓を食べれば、消化中の植物をはじめ、脂肪、ビタミン、ミネラルも摂取できるわけです。

このように、猫は必要な栄養素をすぐ消化・吸収できる形に変えられたものを食べてきたので、人間の食べ物だけを食べていると、体内で必要な栄養素を吸収できる形に変えられず、必須脂肪酸や必須アミノ酸などの欠乏症になりやすいんです。

また、日本では猫といえば魚ですが、野生時代に魚を捕っていたとも思えません。日本人の生活に順応した結果でしょうね。魚には、体にいいといわれる「不飽和脂肪酸」がたくさん含まれていますが、これはすぐに酸化して、体に有害な「過酸化脂質」に変質します。だから新鮮な魚(あるいは酸化防止にビタミンEが添加されたもの)ならそれほど問題ありませんが、猫が干物などをたくさん食べていると、変質した脂肪分が固まる「黄色脂肪症」になります。

太りやすいのはどっち?犬・猫と肥満の関係

今、太り過ぎの犬や猫が目立っていますが、肉食動物、特に猫には、基本的に太った個体はいないはずです。太れば狩りができませんから(笑)。それに猫は体が小さいですから、野外では自分が捕食される可能性もあります。食べ過ぎると逃げられないわけです。猫が一度に少ししか食べないのも、襲われる危険を避けるという意味もありそうです。

一方、冒頭で述べたように犬は狩りがヘタで、食べられる時にできるだけ食べる傾向が強く、また、群れで暮らすため、外敵に襲われる可能性はそれほどありません。だから、猫に比べてずっと太りやすいと言えます。

例えば、うちの大学で飼っている猫たちは、食べ物をたくさん与えても、むやみに食べず、太らない。自己管理しているわけです。では、猫が太りだすのはどんな場合か。それは、自分で狩りをしなくても食べ物の心配がなく、また、安心して暮らせる環境だと分かった時です。つまり、”幸せ”を感じた時点で、猫は”野性味”がなくなり、太りだす。僕は、それを”幸せ太り”と呼んでいるんです(笑)。

確かに、太った猫はかわいいですね。でも、喜んでばかりはいられません。太り過ぎはいろんな慢性病の要因になりやすいですが、特に猫の場合は要注意です。これまで太ることとは無縁だったため、体の中にたまる”余分な脂肪”をうまく使うことができません。だから、太った猫が病気やケガなどで急に食べなくなったら、エネルギーを補うために分解された脂肪が肝臓にたまる「脂肪肝」になりやすいのです。

ライフステージと食生活

犬や猫のライフステージと太り過ぎの関係を見ますと、太りやすい時期は大きく2つあります。1つが、成長期の終わりごろです。成長期には通常、維持期の1.5倍から2倍の栄養価のあるフードを与えないといけません。しかし、成長期の終わり、人間で言えば高校生ぐらいで、ある程度大人の体になってきた時にそれ以前と同じフードを与えていると、太りやすくなります。もっとも、同じペットフードを同じぐらい与えていても、個体差などによって体重は前後20%ほど増減します。

もう1つが、7、8歳ごろの老齢期の初めです。老齢期になると、代謝力が落ちてきて、それほど多くの栄養が要らなくなります。にもかかわらず、以前と変わらない食べ物を与えていると太るのは当然です。しかし、その後、高齢化が進むと太った猫はいなくなります。その要因として2つ考えられます。

1つは、消化・吸収力が落ちて、たくさん食べさせないと、必要な栄養素が確保できなくなり、自然にやせていくことです。もう1つは、太り過ぎの猫は、老齢期になると心臓や腎臓、肝臓、消化管、泌尿器などに問題が起こりやすく、また、運動力も落ちて、ケガや事故に遭いやすくなり、それほど長生きできないのかもしれません。

(初出:「よみうりペット」2005年6月20日発行号)

11月 13, 2009 | Comments are off | 未分類